気づかれ"し"ない星

体操服

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2008.2.29 (Fri) 月齢22.0 下弦

小学校の後半は
ソフトボールに明け暮れていて
休みともなれば
近隣の学校に遠征しては試合をしていた

試合といっても
チーム名もないぐらいだから
ユニフォームは自前の私服だし
バットだって一本をバトンタッチしていた
大概は負けて帰っていたような気がするが
それでも懲りずにそんな事を繰り返していた





我々を地上高くから眺めていたら
瀬戸内海に向かって平行に
右に行ったり左に行ったり
カニのように動いていたのがきっと見えただろう
同じような規模の同じような環境の学校ばかりが相手だったから
特に何も気にすることがなかった

小学校もそろそろ終わりの秋
我々は初めて海に対して垂直に
つまり山間部から街のほうに降りていった
そこは市内で一番大きな小学校で
我々も一応礼儀を重んじて
よそ行きの体操服に着替えて乗り込んだ
意気揚々のつもりだったはずが
相手チームを見て我々は全員固まっていた
ひろーい運動場で練習している彼らは
白ウサギのように真っ白の
柔らかそうな体操服を着ていたからだ
よそ行きのはずの我々の体操服は
3年も前に張り替えた障子紙のような色だった

障子紙の一団は
華麗なプレーに見とれるだけで
なすすべなく腹を減らした子犬のように
とぼとぼとながーい坂道を帰って行った

我々の熱きソフトボールの日々も その日が
結局最後になった
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by dune-planet | 2008-02-29 23:59 | 何気ない日